連続小説

黒くろ猫―2―

猫は一瞬体を起こしてこちらをぎょっと見仰いだが、眠気に勝てずにまた体を横たえる。 上から見るとエジプトの壁画にある女性のような体制をしていて妙な神秘性を覚える。 猫の下のアスファルトに血で描かれた魔法陣がありその頂点に太い蝋燭が立てられ、土…

黒くろ猫 ―1―

バイト先の上司が兎角この世は住みづらいと言ったのでそうなのか、と思う。その主張が至極主観的なものであると理解は出来るがどうも僕には人の嗜好とも言うべき思考に自分が同調できるか脳内検索をかけてしまう節がある。しかし、今まで取り巻く環境に僕自…